びわの里 茂木 まちなか散歩

海を見下ろすびわ畑の風景

茂木(もぎ)という町は、海と山に囲まれた小さな港町です。
長崎市の中心地より初めて茂木を訪れる人は、一見遠く感じるのですが、「意外と近くでびっくりしました」と必ず口々に言われます。
「ながさき出島道路(オランダ坂トンネル)」の開通でJR長崎駅より車でわずか15分の 至近距離です。

毎年5月中旬~6月中旬は、長崎の名産「びわ」の収穫期になり、町内がにわかに活気づき初夏の訪れが感じられます。長崎では、ぶらりと散歩することを「さるく」と言いますが、茂木(もぎ)の町の散歩と歴史のご紹介をいたします。

「茂木」の地名の由来

名前の由来を伝える「裳着神社」
名前の由来を伝える
「裳着(もぎ)神社」

その昔、入り江で家数も少なく名も無いこの街(浦)は、神巧皇后が三韓出兵の途中、この浦に船を入れられ岸にあがってご覧になると、川上から青葉が流れてきたので「青葉浦」と名付けられ、川を若葉川、若葉が浦とも呼ばれていました。また8人の武者が所狭きままに夜具を供にして眠られたので「群着(むれぎ)の浦」とも言い、のちに文字をかえて「茂木の浦」となったと伝えられております。
また神功皇后が上陸され衣装を着けられたから「裳着(もぎ)」といい、それが「茂木」となったという説もあるようです。今もその名前が「裳着(もぎ)神社」として残っています。

茂木が歴史に登場するのは、約千年前の正暦5年(994)で大村藩初代直澄の領地として知行されました。その後、豊臣秀吉が天正15年(1587年)長崎茂木を没収し、慶長10年(1605)、茂木は島原領に加えられますが、寛文9年(1669)松平氏が新しく領主を命ぜられ、茂木は島原領をはずされ天領として三百余年、長崎奉行の統治下にありました。

大正12年と現在の町並み

明治5年(1872)庄屋が廃止され、「長崎県高来軍第二区第七小区」に編入され、戸長役場が置かれ、明治12年(1879)には「西彼杵群茂木村」、大正8年(1919)茂木町となります。
昭和37年(1962)1月1日に長崎市に編入合併されています。
【茂木町商工会30周年記念誌より引用・加筆】

茂木の風景

茂木の特産「茂木びわ」
茂木から橘湾を望む景色。

正面に熊本県の天草の島々、左側には雲仙普賢岳、季節・時間帯で刻々と変化する光景は、あなたの心を癒すことでしょう。茂木(もぎ)は、好漁港として、また、枇杷の名産地としても良く知られています。
多くの新鮮なお魚や食材だけでなく、散策する(さるく)と多くの歴史遺産、文化遺産に遭遇できます。味わい深い石蔵や鎧戸のあるお屋敷が残っており、のどかで魅惑的な町並みとなっております。
茂木の散策ポイントは、「長崎さるく」のコースにもなっています。詳細は、「長崎さるく」公式サイトをご覧いただければ幸いです。

長崎さるくモデルコース
「茂木みなと散歩~漆喰塀の旧家を眺めつつ」
コース順路
  1. 茂木町新四国八十八ケ所霊場めぐり四十四番札所
  2. 茂木枇杷記念碑
  3. 村山等安別邸跡
  4. 若菜川
  5. 裳着 (もぎ)神社
  6. 池山邸
  7. 浄土宗 松尾山玉台寺
  8. 茂木漁港岸壁
  9. 茂木一まる香本家(おやつ付き)
  10. クラフトベーカリー オロン

(所要:約150分 参加費:大人1100円)

長崎さるく:茂木みなと散歩コースのマップ抜粋。クリックすると拡大表示。
「長崎さるく」のマップ(抜粋)
※ クリックで拡大します

茂木の名産品

茂木の名産品は、「魚」と「びわ」それと我が社の一〇香(いっこっこう)、ビワゼリー。
「茂木の魚」と言えば長崎ではブランド品だと言っていい位、魚種も豊富、新鮮でうまい。
「長崎の奥座敷」ともいわれる茂木には、それらを存分に味わえる料亭もあります。 新鮮なおいしい魚はできれば海岸沿いに佇む“料亭”でたっぷり味わいたいものです。
茂木漁港で獲れた新鮮な魚を販売する直売所もあります。

茂木の枇杷(びわ)は、天保年間(1840)に長崎代官屋敷の下働きをしていた茂木村北浦名字木場の三浦シオが中国領事から贈られた枇杷の種子を貰い受け、自宅の庭に蒔いたのが始まり。
現在では、長崎県の「びわ」は全国一の出荷量を誇り、全国の生産量の35%を担っています。

茂木の行事・祭事

一〇香(いっこっこう)の生誕の地・茂木の代表的な行事は、以下のようなものがありますのでご紹介します。

茂木ペーロン祭

(7月第1日曜)

茂木ペーロン祭

茂木ペーロン祭は、「龍神祭」として大漁祈願と航海安全を願い、長崎の伝統文化であるペーロンを若い世代に受け継いでいくために毎年行われているお祭りです。
ペーロンは、白龍(パイロン)から語源がきていると言われ、もとは明暦元(1655)年頃に中国から伝えられたものです。 今から三百数十年前に長崎で最初のペーロン競漕が行われたことになります。長崎県は我が国ボートレースの本家ですね。
現在は、6月初めから各地、各町内で実施されており、7月の最終日曜日には「長崎ペーロン選手権大会」が長崎港で行われ、各地区の選抜チームが競漕いたします。
約14mの長さのペーロン舟に26名の漕ぎ手が乗り組み、太鼓とドラの拍子にあわせ、往復1,150mの距離を競漕します。
今では長崎の夏を彩る風物詩となっております。

裳着(もぎ)神社祇園祭

(7月下旬)

裳着(もぎ)神社

裳着(もぎ)神社は長崎市で最も古い神社で850年以上の歴史があります。
古くは八武者大権現を祭り、「裳着」の由来は、神功皇后が三韓出兵の途中当地に立ち寄り裳を着けたとの故事から裳着(もぎ)の地名が起り、その後当社が創建されたと伝えられています。
キリシタン布教で社殿を焼かれ一時廃社しますが、寛永3年(1626)再建され茂木の鎮守となり、その後裳着神社となります。

潮見崎観音千日祭

(8月初旬)

潮見崎観音

潮見崎観音千日祭は、毎年8月10日。
塩見崎観音は、宝永3年(1706)開山。
昔から子育て、子授けの観音として知られております。
潮見崎の上にある月見台は、橘湾前方から月が出て、海面に映り、月見台の下にかけて布を引いたように美しく見えることから、地元では「布引の月」と呼んでおります。

茂木くんち

(10月中旬)

茂木くんちは、「 裳着(もぎ)神社 」の秋季大祭です。前日の午後からのお下りに始まり、奉納踊り、前夜祭と夜まで賑わい、翌日の大祭、奉納踊り、湯立て神事、そしてお上りと2日間のお祭りです。

いずれの行事も、地域の人達の「絆」を大切にするお祭りとして受け継がれて行くことを心より願っております。
またぜひ長崎観光に一度お出かけいただき、茂木を「さるいて」、お帰りには「茂木一まる香本家」本店でお土産のお買物よろしくお願いします。