一口香(いっこっこう)の歴史

唐人船(中国船)の船員の保存食が起源となり、一口香が誕生しました
唐人船(中国船)の船員の保存食が起源とされる

長崎・茂木の一口香(いっこっこう)は中国伝来の焼菓子です。

その歴史は古く、唐の禅僧や東シナ海を航海する中国人にとって貴重な保存食として日本に渡ってきたこの品は、味、形は違えど一口香に似た菓子は現在でも全国の港町のどこかで確かに存在し受け継がれています。
一口香(いっこっこう)は、製法と中が空洞という形状から「からくりまんじゅう」とも呼ばれ、長崎の土産物として有名です。
他の地域のものに比べ、茂木一まる香本家の「一〇香」はぷっくりと膨らんだ丸い形が大きな特徴となっています。

170年以上続く伝統の技と味

茂木一まる香本家で使っていた歴史ある型や道具
当店の歴史を伝える道具や型

弘化元年(1844年)、弊社初代:榎 市衛門(えのき いちえもん)は長い年月をかけ、ふんわりと膨れた香り高い菓子に作り上げ、一口食べると大変香ばしいことから「一口香(いっこっこう)」と名付け、販売を始めました。これが弊社創業の始まりです。

安政時代(1854年)、二代目:榎 伝二郎(えのき でんじろう)の頃には茂木は景勝の地でもあり丸山に近いため文人墨客の往来ははげしく、これらの人達に茶菓子として好まれ、長崎市内への広がり、三代目・榎 市三郎(えのき いちさぶろう)の頃には、お客様が茂木まで人力車を連ねお求めくださる程の盛況ぶりだったそうです。

更に材料を厳選研究し、よく膨れ、ますます香ばしい今の形に作り上げたのが四代目:榎 伝一郎(えのき でんいちろう)。
五代目:榎 正孝(えのき まさたか)の戦死により、その味を四代目より直接伝授され受け継いでいるのが六代目:榎 巍(えのき たかし)です。

今もなお、一口食べると香ばしい味を、茂木の町で作り続けているからこそ『元祖茂木の一口香』でございます。茂木の一〇香は、水飴、小麦粉、黒砂糖、ハチミツ、唐アク、胡麻を原料として作られた焼き菓子です。
小麦粉と水あめで練り上げた生地に黒砂糖、水飴、上白糖3種の甘みのある餡を包んでつくるのですが焼き上げるときに中のあんこが沸騰し外に出ようとする力で膨らみ中身が無くなってしまいます。

受け継がれた技で 新たな発想を形に

六代目:榎 巍
六代目:榎 巍

中身のない一〇香ですが、その中には職人の伝承の技と魂がたっぷり入っております。
昭和52年(1977年)には、全国菓子大博覧会にて「大臣賞」、昭和56年(1981年)には、オランダにて開催された日本展の茶会で特に小粒の一〇香が茶菓子として、好評を博しました。
また昭和59年(1984年)には、第20回全国菓子博覧会にて「総裁賞」、平成元年(1989年)には「名誉大賞」など数々の賞をいただております。

六代目:榎 巍(えのき たかし)は、今でも更なる研究を重ね、ご先祖様の苦労に報いるよう努力し、菓子職人として次の世代へ伝える多数の作品を創作し続けております。
その中の逸品が「茂木ビワゼリー」で、お客様は全国各地へ広がっています。

一〇香の主な受賞歴
昭和 8年 5月
第9回全国菓子大博覧会・名誉金賞
昭和51年 2月
第7回県新作展・最優秀賞
昭和52年 2月
第9回全国菓子大博覧会・大臣賞
昭和59年 3月
第20回全国菓子大博覧会・総裁賞
平成元年 3月
第21回全国菓子大博覧会・ 名誉大賞
平成14年 11月
第24回全国菓子大博覧会・茶道家元賞

「一〇香」の表記について

茂木一まる香の「一〇香(いっこっこう)」

近年類似品が非常に多く出回っており、スーパー等でも駄菓子として売られているものも有ります。
そこで弊社では昭和48年(1978年)より他社との違いをつける為、「一〇香(いっこっこう)」としています。